新型コロナやインフルエンザの感染者増加 学級閉鎖も

新型コロナやインフルエンザによる学級閉鎖が夏休み明けから増加しています。

財団法人の日本学校保健会は全国にある保育園や幼稚園、学校などのうち、登録のあったおよそ4万の施設の学級閉鎖などの状況を集計しています。

それによりますと、多くの学校で2学期が始まった8月25日の時点で学級閉鎖となったのは、
▽新型コロナで11クラス、▽インフルエンザで1クラスでしたが、
1週間前の9月1日では、
▽新型コロナで205クラス、▽インフルエンザで42クラスに、
8日午後3時の時点では、
▽新型コロナで515クラス、▽インフルエンザで186クラスに増えています。

インフルエンザ患者数 1医療機関当たり2.56人 前週より増加

全国のインフルエンザの患者数は今月3日までの1週間で1医療機関当たり2.56人となり、前の週より増加しました。

流行の目安とされる「1人」を超える状態が続いています。

厚生労働省によりますと、今月3日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週から5700人余り増えて1万2638人でした。

1医療機関当たりでは、前の週の1.40人から2.56人に増えました。

地域ごとでは、いずれも1医療機関当たりで
▽沖縄県で9.41人、
▽宮崎県で4.95人、
▽三重県で4.42人、
▽千葉県で4.20人、
▽福岡県で4.16人
などとなっています。

インフルエンザは、全国で1医療機関当たり1人を超えると「流行期入り」の目安とされていていますが、去年の12月25日までの1週間に「1.24人」となって以降、1人を上回る状態が続いています。

厚生労働省によりますと、この時期まで1人を上回る状態が続くのは、現在の集計方法となった1999年以降で初めてだということです。

感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は「コロナ禍の感染対策が行われていた時期はインフルエンザは感染拡大が抑えられていたため、免疫を持たない人が増えたことが影響していると考えられる」と話しています。

小児科の医師「この時期としては異例の状況」

東京・港区にある小児科の診療所ではインフルエンザと診断される患者の割合が増えているということで、医師はこの時期としては異例の状況だと話しています。

お盆の時期を過ぎた3週間前では発熱患者のうち3割ほどが新型コロナ、1割ほどがインフルエンザと診断されていましたが、ここ1週間は、新型コロナが2割ほど、インフルエンザが2割ほどと、インフルエンザと診断される患者の割合が増えているとといいます。

7日、発熱を訴えて受診した小学生の男の子と3歳の女の子のきょうだいは、ともにインフルエンザと診断されました。

きょうだいの母親は「子どもは熱が40度近く出ていました。保育園でも2、3人インフルエンザにかかった子がいると聞いていて、こんな早い時期からはやっていると驚くとともに、気を付けないといけないと思いました」と話していました。

インフルエンザの予防接種は10月以降に行われるため、医師は感染対策の徹底を呼びかけています。

「学校では特に換気が重要」

「チャイルドケアばんびぃに」の時田章史院長は「インフルエンザは例年は冬に流行しますが、ことしは夏場の8月から毎週数名ずつ感染者が出ていて、経験のない異例な状況です。要因としては、新型コロナの感染対策でここ数年はインフルエンザの流行も抑えられたため”免疫の貯金”ができていないことや、現在冬の南半球からの観光客が増えてインフルエンザの流入があったことなどが考えられます。手洗いなどの基本的な感染対策を行うとともに、学校では特に換気をすることが重要です」と話していました。

薬が不足する薬局も

新型コロナやインフルエンザの患者が増加する中、東京・豊島区にある薬局では薬が不足する状況が続いています。

せき止めやたんを切る薬などの処方が例年の2倍以上に増えていて、発注を行う頻度も週に数回からほぼ毎日にと増加していますが、十分な量を入手できないこともあるといいます。

このため、薬局にある在庫では処方された量を出すことができず、近隣の薬局に融通してもらったり、医師の了解を得てほかの薬に変更したりすることがあるほか、患者に別の区の薬局に行ってもらうようお願いすることもあるといいます。

また、子ども用の薬のうち粉薬の解熱鎮痛薬の在庫が不足する状況が続いていて、薬がない場合には大人用の錠剤を砕いて処方するなどの対応をとることもあるといいます。

医薬品の供給をめぐっては、メーカーによる不祥事でジェネリック医薬品を中心に薬局や医療機関への供給不足が続いています。

「サン薬局ときわ通り店」の薬剤師の伊原孝子さんは「薬をお渡しすべき時に渡せない状況は薬剤師として本当に心苦しいです。周りの薬局も似た状況で苦労していると思います。早く状況が改善してほしい」と話しています。

新型コロナ 全国の感染状況 前週の1.07倍

新型コロナウイルスの全国の感染状況は、今月3日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が20.50人で、前の週の1.07倍となっています。
厚生労働省は「お盆明けから緩やかな増加傾向が続いている。引き続き基本的な感染対策を徹底してほしい」としています。

厚生労働省によりますと、今月3日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から7497人増えて10万1289人となりました。

また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は20.50人で、前の週の1.07倍となりました。

前の週から増加が続くのは3週連続となります。

都道府県別では、多い順に
▽岩手県が35.24人、
▽宮城県が32.54人、
▽秋田県が30.61人、
▽千葉県が28.68人、
▽茨城県が27.74人
などとなっていて、37の都道府県で前の週より増加しています。

このほか、今月3日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万2842人で、前の週と比べて1130人の減少となりました。

厚生労働省は全国の流行状況について「お盆明けから緩やかな増加傾向が続いている。20歳未満の人たちで増えていて学校再開の影響も懸念されることから、引き続き基本的な感染対策を徹底してほしい」としています。

都道府県別 1医療機関当たりの平均患者数

▽岩手県…35.24人
▽宮城県…32.54人
▽秋田県…30.61人
▽千葉県…28.68人
▽茨城県…27.74人
▽福島県…27.62人
▽青森県…27.48人
▽静岡県…26.65人
▽埼玉県…25.73人
▽石川県…25.54人
▽山形県…24.74人
▽愛知県…24.7人
▽栃木県…24.63人
▽長野県…24.1人
▽山梨県…24.02人
▽新潟県…22.65人
▽岐阜県…22.33人
▽徳島県…21.81人
▽群馬県…21.17人
▽三重県…20.77人
▽神奈川県…20.33人
▽北海道…20.25人
▽佐賀県…19.79人
▽奈良県…19.38人
▽宮崎県…19.1人
▽山口県…18.97人
▽鳥取県…18.83人
▽高知県…18.41人
▽大分県…18.03人
▽長崎県…17.97人
▽熊本県…17.84人
▽愛媛県…17.57人
▽富山県…17.27人
▽東京都…17.01人
▽和歌山県…16.96人
▽京都府…16.53人
▽島根県…15.55人
▽滋賀県…15.33人
▽福岡県…15.31人
▽岡山県…15.3人
▽香川県…15.09人
▽鹿児島県…14.69人
▽広島県…14.62人
▽大阪府…14.35人
▽兵庫県…14.19人
▽福井県…12.67人
▽沖縄県…11.8人

専門家「学校が始まってさらに拡大するおそれ」

感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、現在の感染状況について「全国的に緩やかな増加傾向が続いている。お盆の時期は医療機関を受診する人や検査を受ける人が少なくなり、見かけ上、感染者が少なくなっていたが、人々の移動に伴って感染が広がっている」と話していました。

そのうえで「年代別では10歳未満の子どもたちで最も多くなり、学校が始まってさらに拡大するおそれがある。その結果、家庭でも感染が広がって、重症化リスクが高い高齢者の感染者が増えないように注意する必要がある」と指摘しました。

そして「9月の新学期早々、学級閉鎖や休校が相次いでいる。新型コロナもインフルエンザも広がりやすいウイルスなので、発熱やのどの違和感、鼻水が出るなど体調が悪い場合は、感染を疑って無理をせずに自宅療養し、不安があれば医療機関を受診して検査を受けたり、薬を処方してもらったりすることが大事だ」と話していました。